里親制度について
目次
里親制度とは
すべての子どもは、保護者のもとで温かい愛情に守られながら健やかに成長していくことが望まれます。しかし、現実にはさまざまな理由により親のもとで暮らすことができない子どもたちがいます。このような子どもたちを児童福祉法に基づき、個人の家庭に受け入れ、温かい愛情と家庭的な雰囲気の中で家族の一員として養育していくのが里親制度です
現在、社会的養護を必要とする子ども約4万人の内15.6%(約4600人)が里親委託されています(平成26年3月厚生労働省)。この里親等委託率は自治体間で大きな差があり、新潟県では44.7%など、里親等委託率が4割を超えている県もあります。これらの里親等委託率が高い自治体では、子ども相談所への専任の里親担当職員の設置・里親支援機関の充実・体験発表会・市町村と連携した広報・NPOや市民活動を通じた口コミなど積極的な取組が見られます。
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里親の種類
里親の種類には、養育里親(専門里親を含む)・養子縁組を前提とした里親・親族里親があります。
養育里親
養子縁組を目的とせずに、何らかの事情により保護者のいない子どもや保護者に監護させることが不適当な子ども(要保護子どもといいます)を養育する里親です。基本的には、実親の元で暮らすことができるようになるまでの委託となりますが、数週間~1年以内などの短期間委託や、長いと成人になるまで委託を続ける場合などもあり期間は様々で、将来的に養子縁組(子どもが6歳未満の場合は特別養子縁組、6歳を超えている場合は一般的な養子縁組)となる場合もあります。
事前に養育里親研修を修了していることが認定要件となります。5年間毎に更新研修を受ける必要があります。委託できる子どもは4人までで、実子がいる場合は実子を含めて6人までです。
専門里親
虐待などで心身ともに傷ついた子ども、非行問題や障害がある子どもなど、一定の専門的ケアを必要とする子どもを養育する里親です。問題の改善と自立を支援することが求められるなど、養育里親よりも難しい養育であため、専門的な研修を受けることと養育に専念できる環境が求められます。専門里親の登録有効期間は2年で、更新には研修を受ける必要があります。また、専門里親に委託できる子どもの数は2人までです。
親族里親
3親等以内の親族(祖父母・叔父・叔母など)の保護者が、死亡・行方不明・拘禁・入院等により、子どもを養育できなくなったときに、親族がその子どもを養育することを希望する里親です。子どもの負担を考慮し、養育里親よりも親族里親が優先されることが多い傾向があります。
2011年に制度が変更され、親族里親のうち扶養義務のない親族(叔父叔母など)については、養育里親と同様に里親手当が支給されるようになりました。
なお、親族里親のうち、叔父叔母など扶養義務
養子縁組を前提とした里親
養子縁組によって養親となることを前提として、養子縁組が成立するまで養育する里親です。保護者のいない子どもや家庭での養育が困難で実親が親権を放棄する意思が明確な場合となります。
児童が6歳未満の場合は特別養子縁組制度により、裁判所の審判により、実子扱いでの入籍が可能になります。
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養育里親の要件
以下の要件全てを満たしていることが必要となります。
- 要保護子どもの養育についての理解及び熱意並びに要保護子どもに対する豊かな愛情を有していること
- 経済的に困窮していないこと
- 養育里親研修を修了していること
- 福祉関係法律等の規定により罰金等の刑に処され、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者等でないこと
- 子ども虐待その他子どもの福祉に関し著しく不適当な行為をした者でないこと
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里親に支給される手当等
里親手当(月額)
種類 | 1人目 | 2人目以降(1人につき) |
---|---|---|
養育里親 | 72,000円 | 36,000円 |
専門里親 | 123,000円 | 87,000円 |
一般生活費
食費・被服費等(1人月額) 乳児 54,980円、 乳児以外47,680円
その他
幼稚園費・教育費・入進学支度金・就職・大学進学等支度費・医療費等
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(参考) 里親の区分・認定の要件等のまとめ
種類 | 養育里親(養子縁組は前提としない) | 養子縁組によって養親となることを希望するもの その他これに類する者として知事が適当と認めたもの |
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---|---|---|---|---|
養育里親 | 専門里親 | 養子縁組を 前提とした里親 |
親族里親 | |
概要 | 保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当と認められる児童(以下「要保護児童」という。)を養育することを希望し、かつ知事が行う研修を修了し、経済的に困窮していない者であって、養育里親名簿に登録されたもの | 次に掲げる要保護児童のうち、知事がその養育に関し特に支援が必要と認めたものを養育するものとして養育里親名簿に登録されたもの
|
養子縁組によって養親となることを希望する者 | 要保護児童の三親等内の親族であって、要保護児童の両親その他要保護児童を現に監護する者が、死亡、行方不明又は拘禁等の状態となったことにより、これらの者による養育が期待できない要保護児童の養育を希望する者 |
対象 児童 |
要保護児童 | 次に掲げる要保護児童のうち、知事がその養育に関し特に支援が必要と認めたもの
|
要保護児童 | 次に掲げる要件に該当する要保護児童
|
期間 | 制限なし(原則として児童が18歳に達するまで。知事が必要と認めるときは20歳に達する日まで継続できる) | 原則として2年以内 | 制限なし(原則として児童が18歳に達するまで。知事が必要と認めるときは20歳に達する日まで継続できる) | 制限なし (原則として児童が18歳に達するまで。知事が必要と認めるときは20歳に達する日まで継続できる) |
人数 | 同時に養育する児童の合計は4人まで(委託児童とそれ以外の児童の人数を含めると6人まで) |
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同時に養育する児童の合計は4人まで(委託児童とそれ以外の児童の人数を含めると6人まで) | 同時に養育する児童の合計は4人まで(委託児童とそれ以外の児童の人数を含めると6人まで) |
里親 の 要件 |
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養育里親の①~③の要件に加え、
|
|
児童福祉法第34条の15各号に該当しないこと
|
登録 の 更新 |
5年ごと 養育里親更新研修(1日~2日)の受講が必要 | 2年ごと 専門里親更新研修(1日)の受講が必要 | なし | なし |
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里親制度に関する書籍
里親制度について、法的な側面から実際のケースまで広く網羅されており、進めるわけでも否定する分けでもなく、ありのままの現実を記した、まさにガイドという感じの書籍です。
児童虐待の被害を受けた里子と献身的な努力をする里親が「家族」となっていく姿が書かれています。泣きながらも、いろいろ考えさせられる書籍です。
里親・福祉関係者・保健医療関係者・教育関係者などに向けた里親に関する専門誌です。
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