雇入時健康診断について
1.雇用前健康診断の対象者
雇い入れ時の健康診断は常時使用する労働者が対象となっており、正職員だけではなく契約職員・パート・アルバイトであっても、次の要件のいずれにも該当する場合には実施する必要があります(労働安全衛生法66条1項 同規則43条) 。
- 期間の定めのない者や、契約期間が1年以上である者、契約の更新により1年以上使用されることが予定されている者、既に1年以上引き続き使用されている者
- 1週間の労働時間数が、その事業場の通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上である者
雇い入れ時とは雇い入れの直前または直後を指すので、入職前の受診ではなく入職直後の受診でも労基法的には問題ないようです。ただ、監査では指摘される可能性もあるので入職前に受診させた方が無難です 。
雇用前健康診断の費用 については、「法で事業者に健康診断の実施義務を課している以上、当然事業主が負担すべきものである」と通達されているので、法人が負担することになります。
2.雇い入れ時の健康診断の実施項目
健康診断の実施項目については定期健康診断の項目とほぼ同じで、法律で定められている受診項目は以下の通りです。
なお、3ヶ月以内に健康診断を受けていた場合にはその受診項目を省略することが出来るので、採用選考や採用時に必要な書類として「健康診断書」を提出させている場合はその項目を省略しても問題ありません。ただ、この点も日時や見解の違いなどで監査で引っかかりやすいところなので、定められた項目を法人負担で改めて実施した方が費用もさほど変わらないので無難だと思います。
- ①既往歴及び業務歴の調査
- ②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- ③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- ④胸部エックス線検査
- ⑤血圧の測定
- ⑥貧血検査
- ⑦肝機能検査
- ⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- ⑨血糖検査
- ⑩尿検査
- ⑪心電図検査
【参考】陽光福祉会で使っている雇入時 健康診断票(PDF)
3.雇用前健康診断結果の取り扱い
健康診断の結果は健康診断個人票を作成した上で5年間の保管義務があります。
また、常時50人以上の労働者を使用している事業者は、労働基準監督署に健康診断の結果を報告する義務があります。