幼保連携型認定こども園教育・保育要領


幼保連携型認定こども園教育・保育要領

平成26年4月30日

目次


認定こども園教育・保育要領の関係書籍

第1章 総則

第1 幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本及び目標

1 教育及び保育の基本

乳幼児期における教育及び保育は、子どもの健全な心身の発達を図りつつ生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼保連携型認定こども園における教育及び保育は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(以下「認定こども園法」という )。第2条第7項に規定する目的を達成するため、乳幼児期の特性及び保護者や地域の実態を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とし、家庭や地域での生活を含め園児の生活全体が豊かなものとなるように努めなければならない。
このため、保育教諭等は、園児との信頼関係を十分に築き、園児が自ら安心して環境にかかわりその活動が豊かに展開されるよう環境を整え、園児と共によりよい教育及び保育の環境を創造するように努めるものとする。これらを踏まえ、次に示す事項を重視して教育及び保育を行わなければならない。

    1. (1) 乳幼児期は周囲への依存を基盤にしつつ自立に向かうものであることを考慮して、周囲との信頼関係に支えられた生活の中で、園児一人一人が安心感と信頼感を持っていろいろな活動に取り組む体験を十分に積み重ねられるようにすること。
    2. (2) 乳幼児期においては生命の保持が図られ安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して、園児の主体的な活動を促し、乳幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
    3. (3) 乳幼児期における自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して、遊びを通しての指導を中心として第2章の第1に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。
    4. (4) 乳幼児期における発達は、心身の諸側面が相互に関連し合い、多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること、また、園児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して、園児一人一人の特性や発達の過程に応じ 発達の課題に即した指導を行うようにすること。

その際、保育教諭等は、園児の主体的な活動が確保されるよう園児一人一人の行動の理解と予想に基づき、計画的に環境を構成しなければならない。この場合において、保育教諭等は、園児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ、物的・空間的環境を構成しなければならない。また、保育教諭等は、園児一人一人の活動の場面に応じて、様々な役割を果たし、その活動を豊かにしなければならない。

2 教育及び保育の目標

幼保連携型認定こども園は、家庭との連携を図りながら、この章の第1の1に示す幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本に基づいて一体的に展開される幼保連携型認定こども園における生活を通して、生きる力の基礎を育成するよう認定こども園法第9条に規定する幼保連携型認定こども園の教育及び保育の目標の達成に努めなければならない。幼保連携型認定こども園は、このことにより、義務教育及びその後の教育の基礎を培うとともに、子どもの昀善の利益を考慮しつつ、その生活を保障し、保護者と共に園児を心身ともに健やかに育成するものとする。
なお、認定こども園法第9条に規定する幼保連携型認定こども園の教育及び保育の目標については 小学校就学の始期に達するまでの時期を通じ、その達成に向けて努力すべき目当てとなるものであることから、満3歳未満の園児の保育にも当てはまることに留意すること。

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第2 教育及び保育の内容に関する全体的な計画の作成

各幼保連携型認定こども園においては、教育基本法(平成18年法律第120号)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)及び認定こども園法その他の法令並びにこの幼保連携型認定こども園教育・保育要領の示すところに従い、教育及び保育を一体的に提供するため、創意工夫を生かし、園児の心身の発達と幼保連携型認定こども園、家庭及び地域の実態に即応した適切な教育及び保育の内容に関する全体的な計画を作成するものとする。

1 幼保連携型認定こども園における生活の全体を通して第2章の第1に示すねらいが総合的に達成されるよう、教育課程に係る教育期間や園児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織しなければならない。この場合においては、特に、自我が芽生え、他者の存在を意識し、自己を抑制しようとする気持ちが生まれるなどの乳幼児期の発達の特性を踏まえ、入園から修了に至るまでの長期的な視野を持って充実した生活が展開できるように配慮しなければならないこと。

2 幼保連携型認定こども園の毎学年の教育課程に係る教育週数は、特別の事情のある場合を除き、39週を下ってはならないこと。

3 幼保連携型認定こども園の1日の教育課程に係る教育時間は、4時間を標準とすること。ただし、園児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮すること。

4 幼保連携型認定こども園の保育を必要とする子どもに該当する園児に対する教育及び保育の時間(満3歳以上の保育を必要とする子どもに該当する園児については、この章の第2の3に規定する教育時間を含む。)は、1日につき8時間を原則とし、園長がこれを定めること。ただし、その地方における園児の保護者の労働時間その他家庭の状況等を考慮すること。

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第3 幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項

幼保連携型認定こども園における教育及び保育を行うに当たっては、次の事項について特に配慮しなければならない。

1 当該幼保連携型認定こども園に入園した年齢により集団生活の経験年数が異なる園児がいることに配慮する等、0歳から小学校就学前までの一貫した教育及び保育を園児の発達の連続性を考慮して展開していくこと。

2 園児の一日の生活の連続性及びリズムの多様性に配慮するとともに、保護者の生活形態を反映した園児の在園時間の長短、入園時期や登園日数の違いを踏まえ、園児一人一人の状況に応じ、教育及び保育の内容やその展開について工夫をすること。特に、入園及び年度当初においては、家庭との連携の下、園児一人一人の生活の仕方やリズムに十分に配慮して一日の自然な生活の流れをつくり出していくようにすること。

3 環境を通して行う教育及び保育の活動の充実を図るため、幼保連携型認定こども園における教育及び保育の環境の構成に当たっては、乳幼児期の特性を踏まえ、次の事項に留意すること。

(1) 0歳から小学校就学前までの様々な年齢の園児の発達の特性を踏まえ、満3歳未満の園児については特に健康、安全や発達の確保を十分に図るとともに、満3歳以上の園児については同一学年の園児で編制される学級による集団活動の中で遊びを中心とする園児の主体的な活動を通して発達を促す経験が得られるよう工夫をすること。
(2) 在園時間が異なる多様な園児がいることを踏まえ、園児の生活が安定するよう、家庭や地域、幼保連携型認定こども園における生活の連続性を確保するとともに、一日の生活のリズムを整えるよう工夫をすること。特に満3歳未満の園児については睡眠時間等の個人差に配慮するとともに、満3歳以上の園児については集中して遊ぶ場と家庭的な雰囲気の中でくつろぐ場との適切な調和等の工夫をすること。
(3) 家庭や地域において異年齢の子どもとかかわる機会が減少していることを踏まえ、満3歳以上の園児については、学級による集団活動とともに、満3歳未満の園児を含む異年齢の園児による活動を、園児の発達の状況にも配慮しつつ適切に組み合わせて設定するなどの工夫をすること。

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4 養護の行き届いた環境の下生命の保持や情緒の安定を図るため、幼保連携型認定こども園における教育及び保育を展開するに当たっては、次の事項に留意すること。

      1. (1) 園児一人一人が、快適にかつ健康で安全に過ごせるようにするとともに、その生理的欲求が十分に満たされ、健康増進が積極的に図られるようにするため、次の事項に留意するものとする。
        1. ア 園児一人一人の平常の健康状態や発育及び発達の状態を的確に把握し、異常を感じる場合は、速やかに適切に対応すること。
        2. イ 家庭との連携を密にし、学校医等との連携を図りながら、園児の疾病や事故防止に関する認識を深め、保健的で安全な環境の維持及び向上に努めること。
        3. ウ 清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的なかかわりを通して、園児の生理的欲求を満たしていくこと。また、家庭と協力しながら、園児の発達の過程等に応じた適切な生活のリズムがつくられていくようにすること。
        4. エ 園児の発達の過程等に応じて、適度な運動と休息をとることができるようにすること。また、食事、排泄せつ、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどについて、園児が意欲的に生活できるよう適切に援助すること。
      2. (2) 園児一人一人が安定感を持って過ごし、自分の気持ちを安心して表すことができるようにするとともに、周囲から主体として受け止められ主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにし、心身の疲れが癒やされるようにするため、次の事項に留意するものとする。
        1. ア 園児一人一人の置かれている状態や発達の過程などを的確に把握し、園児の欲求を適切に満たしながら、応答的な触れ合いや言葉掛けを行うこと。
        2. イ 園児一人一人の気持ちを受容し、共感しながら、園児との継続的な信頼関係を築いていくこと。
        3. ウ 保育教諭等との信頼関係を基盤に、園児一人一人が主体的に活動し、自発性や探索意欲などを高めるとともに、自分への自信を持つことができるよう成長の過程を見守り、適切に働き掛けること。
        4. エ 園児一人一人の生活のリズム、発達の過程、在園時間などに応じて、活動内容のバランスや調和を図りながら、適切な食事や休息がとれるようにすること。

5 園児の健康及び安全は、園児の生命の保持と健やかな生活の基本であ
ることから、次の事項に留意するものとする。

      1. (1) 健康支援
        1. ア 健康状態や発育及び発達の状態の把握
          1. (ア) 園児の心身の状態に応じた教育及び保育を行うために、園児の健康状態や発育及び発達の状態について、定期的、継続的に、また、必要に応じて随時、把握すること。
          2. (イ) 保護者からの情報とともに、登園時及び在園時に園児の状態を観察し、何らかの疾病が疑われる状態や傷害が認められた場合には、保護者に連絡するとともに、学校医と相談するなど適切な対
            応を図ること。
          3. (ウ) 園児の心身の状態等を観察し、不適切な養育の兆候が見られる場合には、市町村(特別区を含む。以下同じ )や関係機関と連携し、児童福祉法第25条の2第1項に規定する要保護児童対策地域協議会(以下「要保護児童対策地域協議会」という )で検討するなど適切な対応を図ること。また、虐待が疑われる場合には、速やかに市町村又は児童相談所に通告し 適切な対応を図ること。
        2. イ 健康増進
          1. (ア) 認定こども園法第27条において準用する学校保健安全法(昭和33年法律第56号)第5条の学校保健計画を作成する際は、全ての職員がそのねらいや内容を明確にしながら、園児一人一人の健康の保持及び増進に努めていくこと。
          2. (イ) 認定こども園法第27条において準用する学校保健安全法第13条第1項の健康診断を行ったときは、認定こども園法第27条において準用する学校保健安全法第14条の措置を行い、教育及び保育に活用するとともに、保護者が園児の状態を理解し、日常生活に活用できるようにすること。
        3. ウ 疾病等への対応
          1. (ア) 在園時に体調不良や傷害が発生した場合には、その園児の状態等に応じて、保護者に連絡するとともに、適宜、学校医やかかりつけ医等と相談し、適切な処置を行うこと。養護教諭や看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。
          2. (イ) 感染症やその他の疾病の発生予防に努め、その発生や疑いがある場合には必要に応じて学校医、市町村、保健所等に連絡し、その指示に従うとともに、保護者や全ての職員に連絡し、協力を求めること。また、感染症に関する幼保連携型認定こども園の対応方法等について、あらかじめ関係機関の協力を得ておくこと。養護教諭や看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。
          3. (ウ) 園児の疾病等の事態に備え、保健室等の環境を整え、救急用の薬品、材料等を常備し、適切な管理の下に全ての職員が対応できるようにしておくこと。
      2. (2) 環境及び衛生管理並びに安全管理
        1. ア 環境及び衛生管理
          1. (ア) 認定こども園法第27条において準用する学校保健安全法第6条の学校環境衛生基準に基づき幼保連携型認定こども園の適切な環境の維持に努めるとともに、施設内外の設備、用具等の衛生管理に努めること。
          2. (イ) 認定こども園法第27条において準用する学校保健安全法第6条の学校環境衛生基準に基づき幼保連携型認定こども園の適切な環境の維持に努めるとともに、園児及び職員が手洗い等により清潔を保つようにすること。
        2. イ 事故防止及び安全対策
          1. (ア) 在園時の事故防止のために 園児の心身の状態等を踏まえつつ、認定こども園法第27条において準用する学校保健安全法第27条の学校安全計画の策定等を通じ、職員の共通理解と体制づくりを図るとともに、家庭や地域の諸機関の協力の下に安全指導を行うこと。
          2. (イ) 認定こども園法第27条において準用する学校保健安全法第29条の危険等発生時対処要領に基づき、災害や事故の発生に備えるとともに外部からの不審者等の侵入防止のための措置や訓練など不測の事態に備え必要な対応を図ること。また、園児の精神保健面における対応に留意すること。
      3. (3) 食育の推進
        1. 幼保連携型認定こども園における食育は、健康な生活の基本としての食を営む力の育成に向け、その基礎を培うことを目標として、次の事項に留意するものとする。
          1. ア 園児が生活と遊びの中で、意欲を持って食にかかわる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う園児に成長していくことを期待するものであること。
          2. イ 乳幼児期にふさわしい食生活が展開され、適切な援助が行われるよう、食事の提供を含む食育の計画を作成し、教育及び保育の内容に関する全体的な計画並びに指導計画に位置付けるとともに、その評価及び改善に努めること。
          3. ウ 園児が自らの感覚や体験を通して、自然の恵みとしての食材や調理する人への感謝の気持ちが育つように、園児と調理員とのかかわりや、調理室など食に関する環境に配慮すること。栄養教諭や栄養士等が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ること。
          4. エ 体調不良、食物アレルギー、障害のある園児など、園児一人一人の心身の状態等に応じ、学校医、かかりつけ医等の指示や協力の下に適切に対応すること。栄養教諭や栄養士等が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ること。

6 保護者に対する子育ての支援に当たっては、この章の第1に示す幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本及び目標を踏まえ、子どもに対する学校としての教育及び児童福祉施設としての保育並びに保護者に対する子育ての支援について相互に有機的な連携が図られるよう、保護者及び地域の子育てを自ら実践する力を高める観点に立って、次の事項に留意するものとする。

      1. (1) 幼保連携型認定こども園の園児の保護者に対する子育ての支援
        1. ア 園児の送迎時の対応、相談や助言、連絡や通信、会合や行事など日常の教育及び保育に関連した様々な機会を活用して行うこと。
        2. イ 園児の様子や日々の教育及び保育の意図などの説明を通じ、保護者との相互理解を図るよう努めること。
        3. ウ 教育及び保育の活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育てを自ら実践する力の向上に寄与するだけでなく、地域社会における家庭や住民の子育てを自ら実践する力の向上及び子育ての経験の継承につながることから、これを促すこと。その際、保護者の生活形態が異なることを踏まえ、全ての保護者の相互理解が深まるように配慮すること。
        4. エ 保護者の就労と子育ての両立等を支援するため、病児保育事業など多様な事業を実施する場合には、保護者の状況に配慮するとともに、園児の福祉が尊重されるよう努めること。
        5. オ 地域の実態や保護者の要請により教育を行う標準的な時間の終了後等に希望する者を対象に一時預かり事業などとして行う活動については、園児の心身の負担に配慮するとともに、地域の実態や保護者の事情とともに園児の生活のリズムを踏まえつつ、例えば実施日数や時間などについて、弾力的な運用に配慮すること。その際、教育を行う標準的な時間の活動と保育を必要とする園児に対する教育を行う標準的な時間終了後の保育における活動との関連を考慮すること。
        6. カ 園児に障害や発達上の課題が見られる場合には、市町村や関係機関と連携及び協力を図りつつ、保護者に対する個別の支援を行うよう努めること。
        7. キ 保護者に育児不安等が見られる場合には、保護者の希望に応じて個別の支援を行うよう努めること。
        8. ク 保護者に不適切な養育等が疑われる場合には、市町村や関係機関と連携し、要保護児童対策地域協議会で検討するなど適切な対応を図ること。また、虐待が疑われる場合には、速やかに市町村又は児童相談所に通告し、適切な対応を図ること。
      2. (2) 地域における子育て家庭の保護者等に対する支援
        1. ア 幼保連携型認定こども園において、認定こども園法第2条第12項に規定する子育て支援事業を実施する際には、当該幼保連携型認定こども園が持つ地域性や専門性などを十分に考慮して当該地域において必要と認められるものを適切に実施すること。
        2. イ 市町村の支援を得て、地域の関係機関等との積極的な連携及び協力を図るとともに、子育ての支援に関する地域の人材の積極的な活用を図るよう努めること。また、地域の要保護児童への対応など、地域の子どもを巡る諸課題に対し、要保護児童対策地域協議会など関係機関等と連携及び協力して取り組むよう努めること。

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第2章 ねらい及び内容並びに配慮事項

この章に示すねらいは、幼保連携型認定こども園修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情、意欲、態度などであり、内容は、ねらいを達成するために指導する事項である。これらを園児の発達の側面から、心身の健康に関する領域「健康」、人とのかかわりに関する領域「人間関係」、身近な環境とのかかわりに関する領域「環境」、言葉の獲得に関する領域「言葉」及び感性と表現に関する領域「表現」としてまとめ、示したものである。
各領域に示すねらいは、幼保連携型認定こども園における生活の全体を通じ、園児が様々な体験を積み重ねる中で相互に関連を持ちながら次第に達成に向かうものであること、内容は、園児が環境にかかわって展開する具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることに留意しなければならない。
この章に示すねらい及び内容は、主として教育にかかわるねらい及び内容であり、保育の実施に当たっては、園児一人一人の発達の過程やその連続性を踏まえ、この章の第1に示すねらい及び内容を柔軟に取り扱うとともに、この章の第2に示す保育の実施上の配慮事項を踏まえなければならない。その際、教育及び保育の内容が相互に関連を持つよう留意する必要がある。
なお、特に必要な場合には、各領域に示すねらいの趣旨に基づいて適切な、具体的な内容を工夫し、それを加えても差し支えないが、その場合には、それが第1章の第1に示す幼保連携型認定こども園における教育及び保育の基本及び目標を逸脱しないよう慎重に配慮する必要がある。

第1 ねらい及び内容

健康

健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。

1 ねらい
  1. (1) 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。
  2. (2) 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。
  3. (3) 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。
2 内容
  1. (1) 保育教諭等や友達と触れ合い、安定感を持って行動する。
  2. (2) いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
  3. (3) 進んで戸外で遊ぶ。
  4. (4) 様々な活動に親しみ、楽しんで取り組む。
  5. (5) 保育教諭等や友達と食べることを楽しむ。
  6. (6) 健康な生活のリズムを身に付ける。
  7. (7) 身の回りを清潔にし、衣類の着脱、食事、排泄などの生活に必要な活動を自分でする。
  8. (8) 幼保連携型認定こども園における生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整えながら見通しを持って行動する。
  9. (9) 自分の健康に関心を持ち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
  10. (10) 危険な場所、危険な遊び方、災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。
3 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  1. (1) 心と体の健康は 相互に密接な関連があるものであることを踏まえ、園児が保育教諭等や他の園児との温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として、しなやかな心と体の発達を促すこと。特に、十分に体を動かす気持ちよさを体験し、自ら体を動かそうとする意欲が育つようにすること。
  2. (2) 様々な遊びの中で、園児が興味や関心、能力に応じて全身を使って活動することにより、体を動かす楽しさを味わい、安全についての構えを身に付け、自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。
  3. (3) 自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶことにより、体の諸機能の発達が促されることに留意し、園児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。その際、園児の動線に配慮した園庭や遊具の配置などの工夫をすること。
  4. (4) 健康な心と体を育てるためには食育を通じた望ましい食習慣の形成が大切であることを踏まえ、園児の食生活の実情に配慮し、和やかな雰囲気の中で保育教諭等や他の園児と食べる喜びや楽しさを味わったり、様々な食べ物への興味や関心を持ったりするなどし、進んで食べようとする気持ちが育つようにすること。
  5. (5) 基本的な生活習慣の形成に当たっては 家庭での生活経験に配慮し、園児の自立心を育て、園児が他の園児とかかわりながら主体的な活動を展開する中で、生活に必要な習慣を身に付けるようにすること。

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人間関係

他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人とかかわる力を養う。

1 ねらい
  1. (1) 幼保連携型認定こども園の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。
  2. (2) 身近な人と親しみ、かかわりを深め、愛情や信頼感を持つ。
  3. (3) 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
2 内容
  1. (1) 保育教諭等や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
  2. (2) 自分で考え、自分で行動する。
  3. (3) 自分でできることは自分でする。
  4. (4) いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちを持つ。
  5. (5) 友達と積極的にかかわりながら喜びや悲しみを共感し合う。
  6. (6) 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
  7. (7) 友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。
  8. (8) 友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見いだし、工夫したり、協力したりなどする。
  9. (9) よいことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。
  10. (10) 友達とのかかわりを深め、思いやりを持つ。
  11. (11) 友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き 守ろうとする。
  12. (12) 共同の遊具や用具を大切にし、みんなで使う。
  13. (13) 高齢者を始め地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみを持つ。
3 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  1. (1) 保育教諭等との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人とかかわる基盤となることを考慮し、園児が自ら周囲に働き掛けることにより多様な感情を体験し、試行錯誤しながら自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう、園児の行動を見守りながら適切な援助を行うようにすること。
  2. (2) 園児の主体的な活動は、他の園児とのかかわりの中で深まり、豊かになるものであり、園児はその中で互いに必要な存在であることを認識するようになることを踏まえ、一人一人を生かした集団を形成しながら人とかかわる力を育てていくようにすること。特に、園児が自己を発揮し、保育教諭等や他の園児に認められる体験をし、自信を持って行動できるようにすること。
  3. (3) 園児が互いにかかわりを深め、協同して遊ぶようになるため、集団の生活の中で、自ら行動する力を育てるようにするとともに、他の園児と試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを味わうことができるようにすること。
  4. (4) 道徳性の芽生えを培うに当たっては、基本的な生活習慣の形成を図るとともに 園児が他の園児とのかかわりの中で他人の存在に気付き、相手を尊重する気持ちを持って行動できるようにし、また、自然や身近な動植物に親しむことなどを通して豊かな心情が育つようにすること。特に、人に対する信頼感や思いやりの気持ちは、葛藤やつまずきをも体験し、それらを乗り越えることにより次第に芽生えてくることに配慮すること。
  5. (5) 集団の生活を通して、園児が人とのかかわりを深め、規範意識の芽生えが培われることを考慮し、園児が保育教諭等との信頼関係に支えられて自己を発揮する中で、互いに思いを主張し、折り合いを付ける体験をし、きまりの必要性などに気付き、自分の気持ちを調整する力が育つようにすること。
  6. (6) 高齢者を始め地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人と触れ合い、自分の感情や意志を表現しながら共に楽しみ、共感し合う体験を通して、これらの人々などに親しみを持ち、人とかかわることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにすること。また、生活を通して親や祖父母などの家族の愛情に気付き、家族を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。

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環境

周囲の様々な環境に好奇心や探究心を持ってかかわり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。

1 ねらい
  1. (1) 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ。
  2. (2) 身近な環境に自分からかかわり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。
  3. (3) 身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。
2 内容
  1. (1) 自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
  2. (2) 生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心を持つ。
  3. (3) 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
  4. (4) 自然などの身近な事象に関心を持ち、取り入れて遊ぶ。
  5. (5) 身近な動植物に親しみを持って接し、生命の尊さに気付き、いたわったり、大切にしたりする。
  6. (6) 身近な物を大切にする。
  7. (7) 身近な物や遊具に興味を持ってかかわり、考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
  8. (8) 日常生活の中で数量や図形などに関心を持つ。
  9. (9) 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心を持つ。
  10. (10) 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心を持つ。
  11. (11) 幼保連携型認定こども園内外の行事において国旗に親しむ。
3 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  1. (1) 園児が、遊びの中で周囲の環境とかかわり、次第に周囲の世界に好奇心を抱き、その意味や操作の仕方に関心を持ち、物事の法則性に気付き、自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。特に、他の園児の考えなどに触れ、新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい、自ら考えようとする気持ちが育つようにすること。
  2. (2) 乳幼児期において自然の持つ意味は大きく、自然の大きさ、美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通して、園児の心が安らぎ、豊かな感情、好奇心、思考力、表現力の基礎が培われることを踏まえ、園児が自然とのかかわりを深めることができるよう工夫をすること。
  3. (3) 身近な事象や動植物に対する感動を伝え合い、共感し合うことなどを通して自分からかかわろうとする意欲を育てるとともに、様々なかかわり方を通してそれらに対する親しみや畏敬の念、生命を大切にする気持ち、公共心、探究心などが養われるようにすること。
  4. (4) 数量や文字などに関しては、日常生活の中で園児自身の必要感に基づく体験を大切にし、数量や文字などに関する興味や関心、感覚が養われるようにすること。

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言葉

経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。

1 ねらい
  1. (1) 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
  2. (2) 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。
  3. (3) 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、保育教諭等や友達と心を通わせる。
2 内容
  1. (1) 保育教諭等や友達の言葉や話に興味や関心を持ち、親しみを持って聞いたり、話したりする。
  2. (2) したり、見たり、聞いたり、感じたり、考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
  3. (3) したいこと、してほしいことを言葉で表現したり、分からないことを尋ねたりする。
  4. (4) 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
  5. (5) 生活の中で必要な言葉が分かり、使う。
  6. (6) 親しみを持って日常の挨拶をする。
  7. (7) 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
  8. (8) いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
  9. (9) 絵本や物語などに親しみ、興味を持って聞き、想像をする楽しさを味わう。
  10. (10) 日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう。
3 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  1. (1) 言葉は、身近な人に親しみを持って接し、自分の感情や意志などを伝え、それに相手が応答し、その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものであることを考慮して、園児が保育教諭等や他の園児とかかわることにより心を動かすような体験をし、言葉を交わす喜びを味わえるようにすること。
  2. (2) 園児が自分の思いを言葉で伝えるとともに、保育教諭等や他の園児などの話を興味を持って注意して聞くことを通して次第に話を理解するようになっていき、言葉による伝え合いができるようにすること。
  3. (3) 絵本や物語などで、その内容と自分の経験とを結び付けたり、想像を巡らせたりするなど、楽しみを十分に味わうことによって、次第に豊かなイメージを持ち 言葉に対する感覚が養われるようにすること。
  4. (4) 園児が日常生活の中で、文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい、文字に対する興味や関心を持つようにすること。

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表現

感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする

1 ねらい
  1. (1) いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性を持つ。
  2. (2) 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
  3. (3) 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。
2 内容
  1. (1) 生活の中で様々な音、色、形、手触り、動きなどに気付いたり、感じたりするなどして楽しむ。
  2. (2) 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ、イメージを豊かにする。
  3. (3) 様々な出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
  4. (4) 感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり、つくったりなどする。
  5. (5) いろいろな素材に親しみ、工夫して遊ぶ。
  6. (6) 音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
  7. (7) かいたり、つくったりすることを楽しみ、遊びに使ったり、飾ったりなどする。
  8. (8) 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。
3 内容の取扱い

上記の取扱いに当たっては、次の事項に留意する必要がある。

  1. (1) 豊かな感性は、自然などの身近な環境と十分にかかわる中で美しいもの、優れたもの、心を動かす出来事などに出会い、そこから得た感動を他の園児や保育教諭等と共有し、様々に表現することなどを通して養われるようにすること。
  2. (2) 乳幼児期における自己表現は素朴な形で行われることが多いので、保育教諭等はそのような表現を受容し、園児自身の表現しようとする意欲を受け止めて、園児が生活の中で乳幼児期らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。
  3. (3) 生活経験や発達に応じ、自ら様々な表現を楽しみ、表現する意欲を十分に発揮させることができるように、遊具や用具などを整えたり、他の園児の表現に触れられるよう配慮したりし、表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫をすること。

第2 保育の実施上の配慮事項

1 乳児期の園児の保育に関する配慮事項

  1. (1) 疾病への抵抗力が弱く、心身の機能の未熟さに伴う疾病の発生が多いことから、園児一人一人の発育及び発達の状態や健康状態についての適切な判断に基づく保健的な対応を行うこと。
  2. (2) 園児一人一人の生育歴の違いに留意しつつ、欲求を適切に満たし、特定の保育教諭等が応答的にかかわるように努めること。
  3. (3) 乳児期の園児の保育に関する職員間の連携や学校医との連携を図り、第1章の第3の5に示す園児の健康及び安全に関する配慮事項を踏まえ、適切に対応すること。栄養教諭や栄養士等、養護教諭や看護師等が配置されている場合は その専門性を生かした対応を図ること。
  4. (4) 保護者との信頼関係を築きながら保育を進めるとともに、保護者からの相談に応じ、保護者への支援に努めていくこと。
  5. (5) 担当の保育教諭等が替わる場合には、園児のそれまでの経験や発達の過程に留意し、職員間で協力して対応すること。

2 満1歳以上満3歳未満の園児の保育に関する配慮事項

  1. (1) 特に感染症にかかりやすい時期であるため、体の状態、機嫌、食欲などの日常の状態の観察を十分に行うとともに、適切な判断に基づく保健的な対応を行うこと。
  2. (2) 食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなど、生活に必要な基本的な習慣については、園児一人一人の状態に応じ、落ち着いた雰囲気の中で行うようにし、園児が自分でしようとする気持ちを尊重すること。
  3. (3) 探索活動が十分できるように、事故防止に努めながら活動しやすい環境を整え、全身を使う遊びなど様々な遊びを取り入れること。
  4. (4) 園児の自我の育ちを見守り、その気持ちを受け止めるとともに、保育教諭等が仲立ちとなって、友達の気持ちや友達とのかかわり方を丁寧に伝えていくこと。
  5. (5) 情緒の安定を図りながら、園児の自発的な活動を促していくこと。
  6. (6) 担当の保育教諭等が替わる場合には、園児のそれまでの経験や発達の過程に留意し、職員間で協力して対応すること。

3 満3歳以上の園児の保育に関する配慮事項

  1. (1) 生活に必要な基本的な習慣や態度を身に付けることの大切さを理解し、適切な行動を選択できるよう配慮すること。
  2. (2) 園児の情緒が安定し 自己を十分に発揮して活動することを通して、やり遂げる喜びや自信を持つことができるよう配慮すること。
  3. (3) 様々な遊びの中で、全身を動かして意欲的に活動することにより、体の諸機能の発達が促されることに留意し、園児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。
  4. (4) けんかなど葛藤を経験しながら次第に相手の気持ちを理解し、相互に必要な存在であることを実感できるよう配慮すること。
  5. (5) 生活や遊びを通して、きまりがあることの大切さに気付き、自ら判断して行動できるよう配慮すること。
  6. (6) 自然と触れ合う中で、園児の豊かな感性や認識力、思考力及び表現力が培われることを踏まえ、自然とのかかわりを深めることができるよう工夫をすること。
  7. (7) 自分の気持ちや経験を自分なりの言葉で表現することの大切さに留意し、園児の話し掛けに応じるよう心掛けること。また、園児が仲間と伝え合ったり、話し合ったりすることの楽しさが味わえるようにすること。
  8. (8) 感じたことや思ったこと、想像したことなどを、様々な方法で創意工夫を凝らして自由に表現できるよう、保育に必要な素材や用具を始め、様々な環境の設定に留意すること。

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第3章 指導計画作成に当たって配慮すべき事項

幼保連携型認定こども園における教育及び保育は、園児が自ら意欲を持って環境とかかわることによりつくり出される具体的な活動を通して、その目標の達成を図るものである。
幼保連携型認定こども園においてはこのことを踏まえ、乳幼児期にふさわしい生活が展開され、適切な指導が行われるよう、次の事項に留意して調和のとれた組織的、発展的な指導計画を作成し、園児の活動に沿った柔軟な指導を行わなければならない。

第1 一般的な配慮事項

  1. 1 指導計画は、園児の発達に即して園児一人一人が乳幼児期にふさわしい生活を展開し、必要な体験を得られるようにするために、具体的に作成すること。また、指導計画の作成に当たっては、次に示すところにより、具体的なねらい及び内容を明確に設定し、適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにすること。
    1. (1) 具体的なねらい及び内容は、幼保連携型認定こども園の生活における園児の発達の過程を見通し、園児の生活の連続性、季節の変化などを考慮して、園児の興味や関心、発達の実情などに応じて設定すること。
    2. (2) 環境は、具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し、園児が自らその環境にかかわることにより様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにすること。その際、園児の生活する姿や発想を大切にし、常にその環境が適切なものとなるようにすること。
    3. (3) 園児の行う具体的な活動は、生活の流れの中で様々に変化するものであることに留意し、園児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をすること。その際、園児の実態及び園児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての反省や評価を適切に行い、常に指導計画の改善を図ること。
  2. 2 園児の生活は、入園当初の一人一人の遊びや保育教諭等との触れ合いを通して幼保連携型認定こども園の生活に親しみ、安定していく時期から、やがて友達同士で目的を持って幼保連携型認定こども園の生活を展開し、深めていく時期などに至るまでの過程を様々に経ながら広げられていくものであることを考慮し、活動がそれぞれの時期にふさわしく展開されるようにすること。また、園児の入園当初の教育及び保育に当たっては、既に在園している園児に不安や動揺を与えないようにしつつ、可能な限り個別的に対応し、園児が安定感を得て、次第に幼保連携型認定こども園の生活になじんでいくよう配慮すること。
  3. 3 園児が様々な人やものとのかかわりを通して、多様な体験をし、心身の調和のとれた発達を促すようにしていくこと。その際、心が動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し、一つ一つの体験が相互に結び付き、幼保連携型認定こども園の生活が充実するようにすること。
  4. 4 長期的に発達を見通した年、学期、月などにわたる長期の指導計画やこれとの関連を保ちながらより具体的な園児の生活に即した週、日などの短期の指導計画を作成し、適切な指導が行われるようにすること。特に、週、日などの短期の指導計画については、園児の生活のリズムに配慮し、園児の意識や興味の連続性のある活動が相互に関連して幼保連携型認定こども園の生活の自然な流れの中に組み込まれるようにすること。
  5. 5 園児の行う活動は、個人、グループ、学級全体などで多様に展開されるものであるが、いずれの場合にも、幼保連携型認定こども園全体の職員による協力体制をつくりながら、園児一人一人が興味や欲求を十分に満足させるよう適切な援助を行うようにすること。
  6. 6 園児の主体的な活動を促すためには、保育教諭等が多様なかかわりを持つことが重要であることを踏まえ、保育教諭等は、理解者、共同作業者など様々な役割を果たし、園児の情緒の安定や発達に必要な豊かな体験が得られるよう、活動の場面に応じて、園児の人権や園児一人一人の個人差等に配慮した適切な指導を行うようにすること。
  7. 7 幼保連携型認定こども園においては、その教育及び保育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、乳幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。

第2 特に配慮すべき事項

  1. 1 園児の発達の個人差、入園した年齢の違いなどによる集団生活の経験年数の差、家庭環境等を踏まえ、園児一人一人の発達の特性や課題に十分留意すること。特に満3歳未満の園児については、大人への依存度が極めて高い等の特性があることから、個別的な対応を図ること。また、園児の集団生活への円滑な接続について、家庭との連携及び協力を図る等十分留意すること。
  2. 2 園児の発達の連続性を考慮した教育及び保育を展開する際には、次の事項に留意すること。
    1. (1) 満3歳未満の園児については、園児一人一人の生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。
    2. (2) 満3歳以上の園児については、個の成長と、園児相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。
    3. (3) 異年齢で構成されるグループ等での指導に当たっては、園児一人一人の生活や経験、発達の過程などを把握し、適切な指導や環境の構成ができるよう配慮すること。
  3. 3 一日の生活のリズムや在園時間が異なる園児が共に過ごすことを踏まえ、活動と休息、緊張感と解放感等の調和を図るとともに、園児に不安や動揺を与えないようにする等の配慮を行うこと。
  4. 4 午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は園児の発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。
  5. 5 長時間にわたる保育については、園児の発達の過程、生活のリズム及び心身の状態に十分配慮して、保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置付けること。
  6. 6 障害のある園児の指導に当たっては、集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し、適切な環境の下で、障害のある園児が他の園児との生活を通して共に成長できるよう、特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ、例えば指導についての計画又は家庭や医療、福祉などの業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより、個々の園児の障害の状態などに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと。
  7. 7 園児の社会性や豊かな人間性を育むため、地域や幼保連携型認定こども園の実態等により、特別支援学校などの障害のある子どもとの活動を共にする機会を積極的に設けるよう配慮すること。
  8. 8 健康状態、発達の状況、家庭環境等から特別に配慮を要する園児について、一人一人の状況を的確に把握し、専門機関との連携を含め、適切な環境の下で健やかな発達が図られるよう留意すること。
  9. 9 行事の指導に当たっては、幼保連携型認定こども園の生活の自然な流れの中で生活に変化や潤いを与え、園児が主体的に楽しく活動できるようにすること。なお、それぞれの行事については教育的及び保育的価値を十分検討し、適切なものを精選し、園児の負担にならないようにすること。
  10. 10 園児の発達や学びの連続性を確保する観点から、小学校教育への円滑な接続に向けた教育及び保育の内容の工夫を図るとともに、幼保連携型認定こども園の園児と小学校の児童の交流の機会を設けたり、小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会を設けたりするなど、連携を通じた質の向上を図ること。
  11. 11 園児の生活は、家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりを持つものであることに留意し、家庭との連携を十分に図るなど、幼保連携型認定こども園における生活が家庭や地域社会と連続性を保ちつつ展開されるようにすること。その際、地域の自然、人材、行事や公共施設などの地域の資源を積極的に活用し、園児が豊かな生活体験を得られるように工夫をすること。また、家庭との連携に当たっては、保護者との情報交換の機会を設けたり、保護者と園児との活動の機会を設けたりなどすることを通じて、保護者の乳幼児期の教育及び保育に関する理解が深まるよう配慮すること。

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