フィンランド研修


フィンランドは児童の学力レベルが高いことにのみ注目されがちですが、フィンランドは言わずと知れた福祉先進国であり、保育についても養護面でのしっかりとした取り組みの上に、教育的配慮がなされています。さらに言えば、養護・教育と分けること自体が意味を為さず、されは当たり前のように一体として行われています。
※フィンランドでは保育園・幼稚園の区分はなく、保育園的な施設のみが存在しています。

日本では制度上の問題も含め、養護と教育を分離させ、それを一体的に行うという分かりにくいことをやっています。そして現在は、教育面での注目が高まり、養護面が軽視されつつあると感じています。

このような状況の中、フィンランドの保育や子育て支援に大きな関心をもっており、今回のフィンランド研修となりました。

成田を発ち、空港からバスと電車で5時間かけて第一の目的先「ユヴァスキュラ」に到着。ホテルに入って速攻で寝たのですが、時差ぼけで早く起きすぎ・・・今日は朝から保育園視察なのでシャワーを浴びて行ってきます。特に今日の視察先は、今回の一番の目的であるインクルーシブな保育実践が見学できて、話もいろいろと聞けるので気合いを入れて行かなければ!!

ちなみに視察研修は、正味1週間の日程で

  • Halssila保育園の見学(1日)
  • ユヴァスキュラ大学ファミリーセンターで大学の先生にインタビュー
  • Nisula保育園の見学(1日)
  • サンポラ図書館(インターネットバス見学含む)
  • ネウボラ研究グループ面談
  • 現地在住の日本人の方にフィンランドでの子育てについての話を聞く
  • Pakkalanrinne保育園(半日)
  • Lipunkantaja保育園(半日)
  • 特別支援教育授業小学校見学
  • LYHTY RY(就労支援施設)訪問

 

と、内容目白押しで、電車・バスでの移動が中心なので結構ハードです。
観光の時間もほとんどないのでちょっと残念ですが、保育園の様子がじっくり見られそうで楽しみです。

20120918220236 20120918161516


フィンランドの視察研修1日目では、保育園の見学した後、大学の先生に家族政策の話を聞かせてもらいました。

保育園見学はユヴァキュラス市にあるHalssilaという保育園を訪問させてもらいました。
フィンランドの保育園では朝食もあるそうで、それも見たかったので朝7:30に保育園に行きました。

20120919080155

午前は保育の様子をかなり自由に見せていただき、朝の会〜音楽と運動あそび〜散歩・自由あそび、給食の様子を見ました。

20120919082724 20120919092538

20120919094455 20120919101107

 

給食もごちそうになって、午後は音楽指導を中心に担当している保育士の方の話(障害の有無にかかわらず音楽を楽しむプログラムについて)、園長先生からのインクルージョン保育全体についての話、障害をもった子どもの保育に対しての専門的な職員の方の話を聞かせてもらい、質疑応答の時間も1時間以上とってもらい話が出来ました。

20120919114806 20120919122826
この園は1985年に設立され、フィンランドではじめてインクルージョン保育に取り組み、取り組みをはじめた頃は遠方からタクシーを使って登園する人もいたそうです。
クラス構成は、重度の障害をもった子どもが数人所属するクラス、軽度の障害をもった子どもが数人所属するクラス、障害を持つ子どもが所属しないクラスの3つあります。さらにそのクラスが6人程度の小グループに分かれて生活をしています。
園では障害をもった子どもの保育に対しての専門的な職員が配置されており、通常の保育士とともに日々保育を行っています。この専門的な職員は大学にて通常の幼児教育の資格を取った上で、さらに障害児保育のための単位を取得した職員だそうで、合計で240単位ぐらい取る必要があるそうです。ただし、障害児の保育はこの専門的な職員を含めた保育士全員で行い、この職員はあくまでその専門性を全体に提供する役割だそうです。
その他いろいろ話を聞いたのですが、まとまりきらないので後日アップしたいと思います。
何だかんだで16:00過ぎまでおじゃまして、その後ユヴァキュラス大学に移動。
そして大学でフィンランド及びEUの家族問題を研究しているKIMMO JOKINEN教授からフィンランドの家族政策についての話をいろいろと聞かせてもらいました。

20120919165937 20120919170223

左は今回通訳をしていただいている石山さん
質問しすぎて予定の2時間を超えてしまいましたが、快くお話しいただきいろいろ勉強になりました。
こちらも日本との対比を含めまとめた後、アップしたいと思います。


昨日は朝にネウボラを少し見学し、その後は1日保育園見学。その後、電車でユヴァスキュラからタンペレに移動してきました。
今日は図書館を見学した後、ネウボラの研究グループの方からいろいろと話を聞かせてもらう予定です。
なのでネウボラについて事前に確認した事柄について。
ネウボラは日本で言うと「保健センター」と「子ども家庭支援センター」と「病院」の、妊娠・出産(実際に出産をするのは病院)・子育てにまつわる所だけを1つにまとめたような場所で、日本にあるどの特定施設とは別のものという感じです。
おおざっぱに言うと、ネウボラは親と子を支える身近な施設で、妊娠中は健康診断や親となる父母への指導・カウンセリングが保健婦によって定期的に行われるほか、医師の診断や歯科検診もネウボラにて無料で提供されます(母親ネウボラ)。
出産後から子どもが就学するまで、子どもの定期健診や予防接種など健康管理を中心としたケアがネウボラにて無料で行われます(親子ネウボラ)。
具体的には、大体妊娠8〜12週目に初めてネウボラを訪れ、その後4週間ごとに通い、妊娠36週を過ぎると毎週通うようになります。妊娠期間中およそ10〜15回保健婦による検診があり、3〜4回医師による検診が行われます。保健婦による通常の検診では、体重の変化、血圧、尿検査、ヘモグロビン調査、ドプラーによる胎児の心音調査などを行い、医師の検診では、1回目(妊娠10〜15週の間)子宮や骨盤の状態を確認、2回目(26〜30週の間)出産のリスク要因の確認および胎児と産道の大きさの比較などを行い、3回目(35〜37週の間)胎児の状態(逆子になっていないかどうかなど)、その他出産に当たって問題がないかどうかの確認します。
子どもが生まれ、産院から自宅に戻ってから1週間以内ぐらいに保健婦が自宅を訪問。そして3週間するとまず第1回目の子どもネウボラ検診が始まります。特に問題がない場合に次は6週間検診。このときに医師の検診も受け、生後半年まではこの後月1回のペースで検診が実施されます。地域にもよりますが、今回見学するネウボラでは、生後2か月のときにグループ検診も行なっています。医師による検診は、生後4か月、8か月、1歳半、4歳のときに行い、8か月検診のあとは、保健婦による1歳検診が次の検診となっています。その次は1歳3か月のときに検診が行われ、その後は6歳まで1年に1回。このあとは学校の健康診断にと移行されます。子どもの成長や家族の問題で気になる点があるような場合には、もっと頻繁に検診を行なうこともあるそうです。
また、子ども及び家族が特別な支援を必要としている場合、つまり通常のネウヴォラ検診以上に幅広い支援を必要としている場合には、自宅を訪問しその他の検診も自宅検診という形で行うこともあるそうです。
ネウボラには保健婦と医師がいます。さらに今回訪問するタンペレ(およびその他のいくつかの市)には、「ウェルフェア・ネウボラ・モデル」と呼ばれるものが実施されており、そこでは保健婦と医師の支援として数種の専門家からなるチームが構成されています。例えば、チームのメンバーにはネウボラ所属心理学者、ソーシャルワーカー、2人のファミリーワーカー(家族内の問題を処理するために児童保護の観点からいろいろなアドバイスやサービスを提供する人々。児童保護が必要とみなされる家庭に対し、児童施設収容などにならずに済むよう在宅支援を行う)と家族ネウボラ(健康状態よりも家族の社会状態や子供の社会性への不安などの相談にのる)の職員が入っています。
ネウボラ利用するのが当たり前で、ほぼすべての人が利用しています。これは義務ではなく、例えば妊婦ネウヴォラに行かないと、Kela(フィンランド社会保険庁)が支払う産休/育児休暇手当が支給されないなど、何もいいことがないという感じです。また、ネウボラの存在は子どもも大人も当たり前のように知っていて、身近にある存在だそうです。
以上、とりあえずこの程度の知識ですが、いろいろ話をきいて理解を深めたいと思います。

ユヴァスキュラのネルボラにて

20120920080411 20120920080520

20120920082105 20120920082612

保育いろいろ

保育にまつわる「いろいろ」を随時掲載しています。何かの参考にでもなれば幸いです。

〒205-0011 東京都羽村市五ノ神3-15-7
TEL 042-555-5780 FAX 042-555-5767