保育士になるには
目次
1.保育士資格の取り方
保育士として働く場合、必ず必要となるのが国家資格である「保育士資格」です。
この「保育士資格」を取得する方法は次の2通りです。
- 国が指定した保育士養成校(大学・短大・専門)を卒業する
- 保育士試験を受験して合格する
昔は保育士養成校の数があまり多くはなかったので、保育士試験を受験して資格を取る人が多かったのですが、現在は保育士養成校の数が増えたので、養成校出身の保育士が大半です。
保育士資格を取得するためのルート
保育士証
「保育士証」は保育士として働く際に必要になります。養成校を卒業後または保育士試験に合格した後、保育士登録を行うことにより入手出来ます。
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2.保育士養成校を卒業して保育士資格を取得
保育士養成校とは、厚生労働省が指定する4年生大学・短期大学・専門学校・保育士養成施設です。
4年生大学は4年、短大は2~3年(学校・学科による)、専門は2年、また、短大・専門の夜間部は3年が修業年数になり、卒業すれば資格を取得することが出来ます(ただし、資格取得に必要な単位を満たすこと)。
大学・短大では保育士資格に合わせて幼稚園教諭の免許(大学は1種・短大は2種)とれる学校も多いです。また、専門も通信制の短大と提携することにより幼稚園2種免許を取得出来る学校もあります。
保育士養成校の中には通信制の学校もあります。スクーリング(学校に行って授業を受けること。通常土・日などに集中して開講される)や実習はありますが、多くの授業を自宅で学ぶことができ、当然卒業すれば資格を取得することが出来ます。仕事をしながら保育士資格を取得したい人などには向いていますが、卒業まで学習をやり通すには強い意志が必要となります
ネットやチラシにある通信教育の「保育士講座」は、上記の「通信制の学校」と「保育士試験で合格を目指すための講座」の2種類があります。「保育士試験で合格を目指すための講座」はあくまでも試験対策であり、保育士試験に合格しなければ保育士資格は取得出来ません
全国の都道府県別保育士養成校一覧へのリンク 全国の保育士養成校一覧
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3.保育士試験に合格して保育士資格を取得
保育士試験は全国で年1回実施されます。
試験日はどの都道府県でも同じ日なので1年に2回以上受験することは出来ません。
試験は筆記試験と実技試験があり、筆記試験は2日、実技試験は1日の合計3日間の試験となります
試験の合格率は10%台と低く、合格するためにはしっかりとした学習が必要です
また、試験を受けるためには一定の要件を満たしている必要があります。
参考 : 保育士試験の合格率
保育士試験の受験資格
保育士試験を受験するためには次の条件のどれかを満たす必要があります。
- 大学・短大・専門学校を卒業
- 大学・短大・専門学校に2年以上在学し、62単位以上を修得
- 平成8年3月31日までに高校保育科を卒業
- 平成3年3月31日までに高校卒業
- 高校を卒業後、児童福祉施設で2年以上保育経験のある人
- 中学を卒業後、児童福祉施設で5年以上保育経験のある人
保育経験について
下記の施設などで2年以上勤務し、勤務した合計時間数が2,880時間以上(1日6時間以上、月に20日以上)で、児童の保護に対する従事することにより、2年以上の保育経験として認められます(5年以上の場合は7,200時間) 。
下記の2~15の施設で勤務した人は、受験を希望する都道府県知事の認定を受けてから受験ができます(東京都の場合、勤務した施設から「勤務証明書」を発行してもらい、その「勤務証明書」と高校などの「卒業証明書」と「受験資格申請認定書」を東京都担当宛てまで郵送することによって認定書が発行してもらえます。詳細は各都道府県のHPに掲載されていて、「受験資格認定手続 保育士 (都道府県名)」で検索すると出てきます )。
-
- 児童福祉法で認められた施設
- 助産施設・乳児院・母子生活支援施設・保育所・幼保連携型認定こども園・児童厚生施設・児童養護施設・障害児入所施設・児童発達支援センター・情緒障害児短期治療施設・児童自立支援施設・児童家庭支援センター
- 認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第6項に規定する認定こども園)
- 幼稚園(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する幼稚園(特別支援学校幼稚部を含む))
- 家庭的保育事業(法第6条の3第9項に規定する家庭的保育事業)
- 小規模保育事業(法第6条の3第10項に規定する小規模保育事業)
- 居宅訪問型保育事業(法第6条の3第11項に規定する居宅訪問型保育事業)
- 事業所内保育事業(法第6条の3第12項に規定する事業所内保育事業)
- 放課後児童健全育成事業(法第6条の3第2項に規定する放課後児童健全育成事業)
- 一時預かり事業(法第6条の3第7項に規定する一時預かり事業)
- 離島その他の地域において特例保育(子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第30条第1項第4号に規定する特例保育)を実施する施設
- 小規模住居型児童養育事業(法第6条の3第8項に規定する小規模住居型児童養育事業)
- 障害児通所支援事業(法第6条の2の2第1項に規定する障害児通所支援事業(保育所訪問支援事業を除く))
- 一時保護施設(法第12条の4に規定する一時保護施設)
- 18歳未満の者が半数以上入所する次に掲げる施設等
- 障害者支援施設(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に規定する障害者支援施設)
- 指定障害福祉サービス事業所(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する指定障害福祉サービス事業所(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行うものに限る))
- 法第6条の3第9項から第12項までに規定する業務又は法第39条第1項に規定する業務を目的とする施設であって法第34条の15第2項若しくは法第35条第4項の認可又は認定こども園法第17条第1項の認可を受けていないもの(認可外保育施設)のうち、次に掲げるもの
- 法第59条の2の規定により届出をした施設
- アに掲げるもののほか、都道府県等が事業の届出をするものと定めた施設であって、当該届出をした施設
- 児童福祉法施行規則第49条の2第3号に規定する幼稚園併設型認可外保育施設
- 国、都道府県又は市町村が設置する法第6条の3第9項から第12項までに規定する業務又は法第39条第1項に規定する業務を目的とする施設
受験資格についての詳細は全国保育士養成協議会のHPをご覧ください。
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保育士試験の内容
保育士試験は1次試験(筆記試験)と2次試験(実技試験)の2段階になっていて、
1次試験に合格した人のみが2次試験を受験することができます。
- 幼稚園教諭免許を持っている人は一部の科目が受験免除になります
- 幼稚園教諭免許を持っている人は、免除申請をすることにより「保育の心理学」「教育原理」「実技試験」が受験免除となります。また、上記以外の残りの科目についても、指定保育士養成施設において科目履修等により筆記試験科目に対応する教科目を修得した場合は、指定保育士養成施設が発行する「幼稚園教諭免許所有者保育士試験免除科目専修証明書」(幼教専修証明書)の提出により、証明書に記載の筆記試験科目が免除されます。
※修得した教科目が、筆記試験科目に対応するかどうかは、卒業した(教科目を修得した)学校(養成施設)に確認してください。 - 注目
認定こども園法の改正により、幼稚園教諭免許があり、幼稚園や保育園などで3年以上の実務経験がある人は、大学などで8単位を修得するだけで保育士資格を得ることができます。通信制の大学で8単位修得も可能なため、対象となる人は保育士試験を受けるよりはこの制度を利用した方が確実に保育士資格を得ることが出来るとと思います。ただし、この制度は平成32年3月までの特例制度です。
(参考) 幼保特例講座を実施している通信制大学の例 - 聖徳大学 日本福祉大学 明星大学 東京未来大学
筆記試験について
筆記試験は全部で8科目あり、二日間の日程で実施されます。
試験はすべてマークシート方式で、
すべての科目に6割以上の得点をすると合格となります。
試験日 | 試験科目 | 試験時間 | 配点 | ||
---|---|---|---|---|---|
8月8日(土) | ① | 保育原理 | 9:30~10:30 | 60分 | 100点 |
② | 教育原理 | 11:00~11:30 | 30分 | 50点 | |
社会的養護 | 12:00~12:30 | 60分 | 50点 | ||
③ | 児童家庭福祉 | 13:30~14:30 | 30分 | 100点 | |
④ | 社会福祉 | 15:00~16:00 | 30分 | 100点 | |
8月9日(日) | ⑤ | 保育の心理学 | 9:30~10:30 | 60分 | 100点 |
⑥ | 子どもの保健 | 11:00~12:00 | 60分 | 100点 | |
⑦ | 子どもの食と栄養 | 13:00~14:00 | 60分 | 100点 | |
⑧ | 保育実習理論 | 14:30~15:30 | 60分 | 100点 |
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筆記試験の傾向と対策
保育原理
保育の本質や歴史・保育所保育の内容・指導計画・保育士に求められる資質など、保育指針を総合的に理解するための科目となります。健康・安全・食育・虐待・多様化する保育ニーズへの対応・地域との連携・苦情解決・保育を取り巻く社会情勢など、出題範囲は多岐に渡ります。
まずは、保育の歴史・子どもの権利に関する内容・保育所保育指針・児童福祉関連法など、必ず出題される分野をしっかりとおさえておくことが重要です。
教育原理・社会的養護(2科目で1科目扱い)
教育原理は、教育の基礎理論を学び視野を拡げるための分野です。この分野で出題頻度が高いのは「教育史」で、コメニウスの思想やロックの教育理論など、教育の根本に関わる人物や理論、著作物などはしっかり覚えておく必要があります。
社会的養護は、児童の養育と保護に関する基礎理論を学び、子どもの健やかな成長に必要となることを学ぶ分野です。児童福祉法関連事項や児童の権利擁護に関する内容は毎年出題されており、確実に抑えておく必要があります。
児童家庭福祉
障害児や母子家庭などへの法的施策に合わせ、子どもを産み・育てやすい環境を整えるための法的施策を学ぶ科目です。法律の学習に合わせ、児童虐待やいじめなど、最新の社会動向をしっかりと把握しておくことも大切です。
社会福祉
社会福祉とは生活上支援を必要とする人に対して、生活の質を維持・向上させるためのサービスを社会的に提供すること、あるいはそのための制度や設備を整備することを指します。そして保育は社会福祉の一領域となります。この科目は保育を除いた社会福祉の全体を理解するもので、暗記すべき項目が多く、対策にはかなりの時間がかかります。社会福祉援助技術に関する問題は毎年出題されているので、再優先で学習しておいたほうが良いといえます。
保育の心理学
保育の心理学は、乳幼児期から老人期までの成長や発達における心の変化を学ぶ科目です。人名や理論、発達の基本原理や援助の方法、保育現場における問題への対応法など、出題範囲が広いので、保育所保育指針と絡めて理解するなど、効率的な学習が必要となります。
子どもの保健
子どもの保健は、子どもの病気とその予防、事故とその対策、発達障害などに対する理解を深めるための科目です。病気や疾患に対する理解に合わせ、有名な人物名・理論、精神保健に関する法令や制度などの暗記も必要となります。
子どもの食と栄養
栄養の基礎知識、子どもの発達段階に応じた栄養摂取、食生活など食について総合的に学ぶ科目です。三大栄養素の消化・吸収・代謝など栄養学の基礎知識や、母乳・ミルク、食物アレルギーなどについての理解度が問われます。また、子どもの食生活の健全化など、食育に関連した内容も重要な項目となります。
保育実習理論
保育原理を土台とし、すべての科目で基づいた知識・技術を実際の保育現場で実践するための力を養う科目です。例年、出題パターンが似ている科目なので、過去問を数多く解き傾向を掴んでおくことが重要となります。また、この科目は実技試験と繋がる科目でもあり、音楽では用語や和音・調和・移調・楽譜の読み方など、造形では技法・色彩・画材などについて、言語では年齢別での言語発達の特徴などが出題されています。
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保育士試験出題範囲(筆記)
「保育士試験について(平成24年3月30日 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)」より抜粋
保育原理
1.出題の基本方針
保育の意義及び保育の内容や方法について体系的に理解しているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、保育所保育指針の内容や児童の保育と保護者支援を担う保育士の役割と責務について、また、保育相談支援や地域子育て支援等を含む保育の社会的意義など、保育を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 保育の意義
- (1)保育の理念と概念
- (2)児童の最善の利益を考慮した保育
- (3)保護者との協働
- (4)保育の社会的意義
- (5)保育所保育と家庭的保育
- (6)保育所保育指針の制度的位置づけ
- 2 保育所保育指針における保育の基本
- (1)養護と教育の一体性
- (2)環境を通して行う保育
- (3)発達過程に応じた保育
- (4)保護者との緊密な連携
- (5)倫理観に裏付けられた保育士の専門性
- 3 保育の目標と方法
- (1)現在を最もよく生き、望ましい未来をつくりだす力の基礎を培う
- (2)生活と遊びを通して総合的に行う保育
- (3)保育における個と集団への配慮
- (4)計画・実践・記録・評価の連動
- 4 保育の思想と歴史的変遷
- (1)諸外国の保育の思想と歴史
- (2)日本の保育の思想と歴史
- 5 保育の現状と課題
- (1)諸外国の保育の現状と課題
- (2)日本の保育の現状と課題
3.出題上の留意点
- 1 保育所保育指針の内容と保育の実際との関連を重視した出題が望ましい。
- 2 保育士の役割や倫理、専門性等について理解しているかという点についても出題し、その場合には具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 3 保育相談支援の内容等について理解しているかという点についても出題し、その場合には保育相談支援の意義と原則について具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 4 教育原理、児童家庭福祉、社会福祉、社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
教育原理
1.出題の基本方針
教育に関する基本的概念、教育における実践原理を体系的に理解しているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、教育の思想や制度について、また、児童福祉等との関連性や教育を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 教育の意義、目的及び児童福祉等との関連性
- (1)教育の意義
- (2)教育の目的
- (3)教育と児童福祉の関連性
- (4)人間形成と家庭・地域・社会等との関連性
- 2 教育の思想と歴史的変遷
- (1)諸外国の教育思想と歴史
- (2)日本の教育思想と歴史
- (3)児童観と教育観の変遷
- 3 教育の制度
- (1)教育制度の基礎
- (2)教育法規・教育行政の基礎
- (3)諸外国の教育制度
- 4 教育の実践
- (1)教育実践の基礎理論―内容、方法、計画と評価―
- (2)教育実践の多様な取り組み
- 5 生涯学習社会における教育の現状と課題
- (1)生涯学習社会と教育
- (2)現代の教育課題
3.出題上の留意事項
- 1 教育と保育の実際との関連を重視した出題が望ましい。
- 2 保育原理、児童家庭福祉、社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
児童家庭福祉
1.出題の基本方針
現代社会における児童家庭福祉の意義と役割について体系的に理解しているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、児童家庭福祉の理念・制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、児童及び家庭をとりまく状況や児童家庭福祉の実際について、また、保育との関連性や児童家庭福祉を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 現代社会における児童家庭福祉の意義と歴史的変遷
- (1)児童家庭福祉の理念と概念
- (2)児童家庭福祉の歴史的変遷
- (3)現代社会と児童家庭福祉
- 2 児童家庭福祉と保育
- (1)児童家庭福祉の一分野としての保育
- (2)児童の人権擁護と児童家庭福祉
- 3 児童家庭福祉の制度と実施体系
- (1)児童家庭福祉の制度と法体系
- (2)児童家庭福祉行財政と実施機関
- (3)児童福祉施設等
- (4)児童家庭福祉の専門職・実施者
- 4 児童家庭福祉の現状と課題
- (1)少子化と子育て支援サービス
- (2)母子保健と児童の健全育成
- (3)多様な保育ニーズへの対応
- (4)児童虐待防止・ドメスティックバイオレンス
- (5)社会的養護
- (6)障害のある児童への対応
- (7)少年非行等への対応
- 5 児童家庭福祉の動向と展望
- (1)次世代育成支援と児童家庭福祉の推進
- (2)保育・教育・療育・保健・医療等との連携とネットワーク
- (3)諸外国の動向
3.出題上の留意事項
- 1 児童の人権擁護や児童家庭福祉に係る今日的課題等について理解しているかという点についても出題し、その場合には具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 2 児童家庭福祉の歴史的変遷の部分からは、歴史的にあまり古いものや現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
- 3 保育原理、社会福祉、社会的養護の出題及び保育相談支援の内容と十分関連をとって出題する。
社会福祉
1.出題の基本方針
社会福祉全般に関して、その理念体系を理解しているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、社会福祉の理念・制度の体系を概括的に理解しているかという点のほか、その背景となっている社会の動向、社会保障等の関連制度の概要、利用者の保護にかかわる仕組みや相談援助等について、また、児童家庭福祉との関連性や社会福祉を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷
- (1)社会福祉の理念と概念
- (2)社会福祉の歴史的変遷
- 2 社会福祉と児童家庭福祉
- (1)社会福祉の一分野としての児童家庭福祉
- (2)児童の人権擁護と社会福祉
- (3)家庭支援と社会福祉
- 3 社会福祉の制度と実施体系
- (1)社会福祉の制度と法体系
- (2)社会福祉行財政と実施機関
- (3)社会福祉施設等
- (4)社会福祉の専門職・実施者
- (5)社会保障及び関連制度の概要
- 4 社会福祉における相談援助
- (1)相談援助の意義と原則
- (2)相談援助の方法と技術
- 5 社会福祉における利用者の保護にかかわる仕組み
- (1)情報提供と第三者評価
- (2)利用者の権利擁護と苦情解決
- 6 社会福祉の動向と課題
- (1)少子高齢化社会への対応
- (2)在宅福祉・地域福祉の推進
- (3)保育・教育・療育・保健・医療等との連携とネットワーク
- (4)諸外国の動向
3.出題上の留意事項
- 1 社会福祉の法律や手続き、歴史的変遷の部分からは、歴史的にあまり古いものや現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
- 2 社会福祉に係る相談援助の内容等について理解しているかという点についても出題し、その場合には相談援助の意義と原則について具体的事例を設定して問う等工夫が必要である。
- 3 保育原理、児童家庭福祉、社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
社会的養護
1.出題の基本方針
現代社会における社会的養護の意義と役割について体系的に理解しているかを
問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、社会的養護の理念・制度の体系を概括的に理解してい
るかという点のほか、児童及び社会的養護をとりまく状況や家庭的養護、施設養
護の援助の実際について、また、保育との関連性や社会的養護を巡る現代的課題
に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷
- (1)社会的養護の理念と概念
- (2)社会的養護の歴史的変遷
- 2 社会的養護と児童家庭福祉
- (1)児童家庭福祉の一分野としての社会的養護
- (2)児童の権利擁護と社会的養護
- 3 社会的養護の制度と実施体系
- (1)社会的養護の制度と法体系
- (2)社会的養護の仕組みと実施体系
- (3)家庭的養護と施設養護
- (4)社会的養護の専門職・実施者
- 4 施設養護の実際
- (1)施設養護の基本原理
- (2)施設養護の実際-日常生活支援、治療的支援、自己実現・自立支援等-
- (3)施設養護とソーシャルワーク
- 5 社会的養護の現状と課題
- (1)施設等の運営管理
- (2)倫理の確立
- (3)被措置児童等の虐待防止
- (4)社会的養護と地域福祉
3.出題上の留意事項
- 1 社会福祉の法律や手続き、歴史的変遷の部分からは、歴史的にあまり古いものや現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
- 2 保育原理、児童家庭福祉、社会福祉の出題と十分関連をとって出題する。
保育の心理学
1.出題の基本方針
保育実践にかかわる心理学の知識や発達の基本原理について体系的に理解しているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、子どもの発達過程における心理や発達の特徴を理解しているかという点のほか、生活と遊びを通して学ぶ子どもの経験や学習の過程について、また、保育における発達援助や子どもの発達を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 保育と心理学
- (1)子どもの発達を理解することの意義
- (2)保育実践の評価と心理学
- (3)発達観、子ども観と保育観
- 2 子どもの発達理解
- (1)子どもの発達と環境
- (2)感情の発達と自我
- (3)身体的機能と運動機能の発達
- (4)知覚と認知の発達
- (5)言葉の発達と社会性
- 3 人との相互的かかわりと子どもの発達
- (1)基本的信頼感の獲得
- (2)他者とのかかわり
- (3)社会的相互作用
- 4 生涯発達と初期経験の重要性
- (1)生涯発達と発達援助
- (2)胎児期及び新生児期の発達
- (3)乳幼児期の発達
- (4)学童期から青年期の発達
- (5)成人期、老年期の発達
- 5 子どもの発達と保育実践
- (1)子ども理解における発達の把握
- (2)個人差や発達過程に応じた保育
- (3)身体感覚を伴う多様な経験と環境との相互作用
- (4)環境としての保育者と子どもの発達
- (5)子ども相互のかかわりと関係作り
- (6)自己主張と自己統制
- (7)子ども集団と保育の環境
- 6 生活や遊びを通した学びの過程
- (1)子どもの生活と学び
- (2)子どもの遊びと学び
- (3)生涯にわたる生きる力の基礎を培う
- 7 保育における発達援助
- (1)基本的生活習慣の獲得と発達援助
- (2)自己の主体性の形成と発達援助
- (3)発達課題に応じたかかわりと援助
- (4)発達の連続性と就学への支援
- (5)発達援助における協働
- (6)現代社会における子どもの発達と保育の課題
3.出題上の留意事項
- 1 児童の発達過程及び発達の特性について正しく理解し、保育(養護と教育)との関連において把握することを主眼として出題する。
- 2 児童の発達課題や初期経験の重要性等、保育の実際において役立つような知識についても問わなければならない。
- 3 保育原理、児童家庭福祉、子どもの保健の出題と十分関連をとって出題する。
子どもの保健
1.出題の基本方針
児童の心身の健康と安全に係る基本的知識と保育実践に係る児童の疾病とその予防及び事故防止と安全管理等についての理解を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、児童の健康増進を図る保健活動の意義や保育における環境及び衛生管理並びに安全管理について理解しているかという点のほか、児童の身体面のみならず心の健康についての理解や母子保健対策、他職種との連携等に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 子どもの健康と保健の意義
- (1)生命の保持と情緒の安定に係る保健活動の意義と目的
- (2)健康の概念と健康指標
- (3)地域おける保健活動と児童虐待防止
- 2 子どもの発育・発達と保健
- (1)生物としてのヒトの成り立ち
- (2)身体発育と保健
- (3)生理機能の発達と保健
- (4)運動機能の発達と保健
- (5)精神機能の発達と保健
- 3 子どもの疾病と保育
- (1)子どもの健康状態の把握と主な疾病の特徴
- (2)子どもの疾病の予防と適切な対応
- 4 子どもの精神保健
- (1)子どもの生活環境と精神保健
- (2)子どもの心の健康とその課題
- 5 環境及び衛生管理並びに安全管理
- (1)保育環境整備と保健
- (2)保育現場における衛生管理
- (3)保育現場における事故防止及び安全対策並びに危機管理
- 6 健康及び安全の実施体制
- (1)職員間の連携と組織的取組
- (2)母子保健対策と保育
- (3)家庭・専門機関・地域との連携
- 7 保健活動の計画及び評価
- (1)保健計画の作成と活用
- (2)保健活動の記録と自己評価
- (3)子どもの保健に係る個別対応と子ども集団全体の健康と安全・衛生管理
3.出題上の留意事項
- 1 児童の疾病や事故等の予防や適切な対応について、保育の実際において起こりうる事項に関して出題することが望ましい。
- 2 一人一人の児童の保健とともに、集団の場における保健的対応や対策についても問わなければならない。
- 3 保育の心理学、子どもの食と栄養の出題と十分関連をとって出題する。
子どもの食と栄養
1.出題の基本方針
児童の食生活や栄養に関する基本的知識と保育実践に係る食育の基本と内容についての理解を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、児童の健康な生活の基本としての食生活の意義や栄養の基本的概念や調理の基本、年齢や発達過程における食生活について理解しているかという点のほか、食に係る特別な配慮を有する児童への対応や食を通した保護者への支援、現代社会における食生活の課題に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 子どもの健康と食生活の意義
- (1)子どもの心身の健康と食生活
- (2)子どもの食生活の現状と課題
- 2 栄養に関する基本的知識
- (1)栄養の基本的概念と栄養素の種類と機能
- (2)食事摂取基準と献立作成・調理の基本
- 3 子どもの発育・発達と食生活
- (1)乳児期の授乳・離乳の意義と食生活
- (2)幼児期の心身の発達と食生活
- (3)学童期の心身の発達と食生活
- (4)生涯発達と食生活
- 4 食育の基本と内容
- (1)食育における養護と教育の一体性
- (2)食育の内容と計画及び評価
- (3)食育のための環境
- (4)地域の関係機関や職員間の連携
- (5)食生活指導及び食を通した保護者への支援
- 5 家庭や児童福祉施設における食事と栄養
- (1)家庭における食事と栄養
- (2)児童福祉施設における食事と栄養
- 6 特別な配慮を要する子どもの食と栄養
- (1)疾病及び体調不良の子どもへの対応
- (2)食物アレルギーのある子どもへの対応
- (3)障害のある子どもへの対応
3.出題上の留意事項
- 1 児童の食と栄養に関する適切な対応について、保育の実際において必要な事項に関して出題することが望ましい。
- 2 児童の保健の出題と十分関連をとって出題する。
保育実習理論
1.出題の基本方針
保育に関する教科全体の知識・技術を基礎とし、子どもの保育及び保護者への支援について総合的に理解し、実践する応用力を問うことを基本とする。
保育実習理論については、保育所、児童福祉施設の役割や機能について、また、保育士の職業倫理について具体的に理解しているかという点のほか、保育実践に係る計画(保育課程・指導計画)と実践(保育内容)及びその評価や児童福祉施設における児童の生活と援助活動に関しても配慮が必要である。
2.出題範囲
- 1 保育所保育
- (1)保育所の役割と機能
- (2)保育課程と指導計画
- (3)保育の内容
- ①養護にかかわる保育の内容
- ②教育にかかわる保育の内容
- (4)記録と自己評価
- (5)保育士の役割と職業倫理
- 2 児童福祉施設(保育所以外)
- (1)施設の役割と機能
- (2)児童の生活の実際
- (3)支援計画の作成と実践
- (4)記録と自己評価
- (5)保育士の役割と職業倫理
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筆記試験科目の一部免除
保育士試験では、筆記試験で合格した科目は3年間有効となります。
つまり、一度合格した科目は、その後2年間の試験で受験を免除されます。
例えば、平成27年度の試験で「保育の心理学」の1科目のみ不合格だった場合、受験申請時に「一部科目合格通知書」のコピーを提出し免除申請を行うことにより、平成28年度・平成29年度の試験では「保育の心理学」の1科目だけを受験し合格すれば実技試験に進めます。
ただし、「教育原理」と「社会的養護」は2科目で1科目分の扱いとなるため、どちらか一方が6割を越し合格していても、もう片方が6割に達していない場合には、来年度は両科目とも受験する必要があります。
平成27年度 | 3科目合格!! → 残り5科目 |
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平成28年度 | 3科目免除なので5科目受験 4科目合格!! → 残り1科目 |
平成29年度 | 7科目免除なので1科目受験 1科目合格!! → 筆記試験合格!! いざ、実技試験へ |
もしも実技試験が不合格だった時 | |
平成30年度 | 平成27年度に合格した3科目は無効なので5科目受験 |
勤務経験者を対象とした合格科目の免除期間延長制度がスタート
平成27年の試験では、対象施設において一定の勤務経験がある場合、平成23年及び平成24年の合格科目を免除することができます。また、平成27年に合格した科目についても、対象施設で勤務期間および勤務時間を満たした場合は、平成30年または平成31年まで免除期間を延長することができます。つまり、一定の勤務経験がある場合は有効期間が2年間延びて5年間になるということです。対象施設や勤務期間・勤務時間など制度の詳細は「筆記試験合格科目における合格科目免除期間延長制度について(全国保育士養成協議会)」をご覧ください。
実技試験について
実技試験は下記の3科目から2科目を選択して受験します。
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- 音楽表現に関する技術
- (課題曲2曲を、ピアノかギターかアコーディオンを使って弾きながら歌う)
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- 造形表現に関する技術
- (デッサンや想像画などを鉛筆や色鉛筆で描く)
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- 言語表現に関する技術
- (何も見ないで、道具も使わずに、あらかじめ用意した童話などを話し聞かせする)
各科目50点の配点で、選択した2科目ともに6割以上の得点をすると合格となります。
実技試験は筆記試験の2ヶ月後ぐらいに実施され、2科目の試験を1日で行います。
実技試験は筆記試験と比べて難易度はさほど高くはありませんが(平成26年度の合格率は89%)、それでもある程度の対策は必要となります。
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4.保育士試験の参考書
テキスト(筆記試験)
学習のベースとなる「テキスト本」です。基本的には、定番の「保育士完全合格テキスト上・下」だけでいいと思いますが、かなり分厚く文字量も多いので、途中で挫折してしまう人も多いようです。なので、はじめに「U-CANの保育士 はじめてレッスン 」をあまり深追いせず一通り読み通してから「保育士完全合格テキスト上・下」に入るのもいいかもしれません。また、「U-CANの保育士 はじめてレッスン 」の後、過去問にチャレンジしてみて試験の感じをつかみ、その後に「保育士完全合格テキスト上・下」での学習を始めるのも効果的です。
合格には、テキストを何冊やったかではなく、1冊を何回繰り返したかの方が重要です。「保育士完全合格テキスト上・下」に限らず、これと決めたテキストはボロボロになるぐらい繰り返し読み解いていくことが求められます。
問題集(筆記)
いわゆる「過去問」です。どの過去問も当然問題は同じなので大切なのは解説になります。「U-CANの保育士 厳選過去問題集」は解説のわかりやすさに定評がありおすすめです。過去問を試験前のチェック用として、解かずに大切にとっておく人がたまにいますが、それは大きな間違いです。合格には、過去問を何度も何度も繰り返し解き、テキストに戻って再度理解を深める作業は欠かせません。
辞書的な書籍(筆記)
テキストには書いていない細かな内容まで記載されていて、講習会などでは教材指定となっていることが多い書籍です。また、保育士試験の問題がこの書籍から出題されていることもよくあります。ただし、このシリーズは試験対策用ではないので、メイン本として使うには難しいです。テキストを読んで理解できなかったりしたところを調べる辞書的な使用法に向いています。なので、はじめに全部揃えるのではなく、テキストを学習していく中で苦手な範囲や理解しずらい内容が多い分野の本のみを購入するのがいいと思います。ただ、保育士として働いていくうえでは持っていて損はない本だと思います。
※インターネットで辞書代わりに調べるのもありですが、思ったより時間がかかってしまう、間違えた内容が掲載されているなど注意も必要です。
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